こんなところにも機械学習が!広がる Google 機械学習サービスの活用事例

こんなところにも機械学習が!広がる Google 機械学習サービスの活用事例

ビジネス

投稿日:2018/09/03 | 最終更新日:2018/10/10

この記事は2017年5月・9月頃に Google Cloud Platform Japan Blog で公開された記事をもとに編集・執筆しています。

はじめに

近年、 AI に対する注目が高まっています。 Google においても、クラウドサービスでの機械学習サービスを提供し、その利用が広がっています。今回は、 Google の機械学習サービスの利用事例について紹介します。

キユーピー + ブレインパッド + Google の取り組みで次世代の AI 検査装置を実現

代表的な「キユーピーマヨネーズ」だけでなく、ドレッシングや各種調味料、ベビーフード、介護食など、キユーピー株式会社は日本人の食生活を100 年近くに渡って支えてきた企業です。同社では、「良い商品は良い原料からしか生まれない」という考え方をこれまで大切にして経営されてきました。

このような考え方から、キューピーでは原料に対して非常に強いこだわりがあります。このこだわりから、かつては良品を選別することを徹底するために、食品原料の良品・不良品の検査・仕分けを一個一個目視で検査をするなど、人力に頼る作業工程がありました。例えば、キューピーのある工場では1 日あたり 4~5 トンもの原料に対し全量検査を行っており、それが現場の大きな負担になっていました。

このような人力の検査には一定以上の熟練が求められるため、人を増やすのも簡単ではないことから簡単に増産ができないなど、生産上の大きな課題になっていました。

AI 活用により原料検査工程を改善

そこで、キューピーでは、こうした人力に頼った作業を無くしていこうという取り組みがはじまりました。長年、人力作業の機械化を検討していった結果、自ら学習して精度を高めていくことができる人工知能( AI )を活用することで、キューピーが抱える問題を解決できるのではないかと考えるようになりました。そして、2016 年 10 月にキューピーにて AI を駆使した原料検査装置の開発が表明されました。

この AI を使った原料検査装置には Google の TensorFlow が活用されています。この装置の開発は順調に進みアルゴリズムの検討から約2ヶ月でプロトタイプが完成されました。この装置の利用によって、キューピーでの生産性は2倍となりました。生産性の向上だけではありません。原料にこだわりの強いキューピーの検査においても、十分な検知能力を達成しています。

株式会社オークネット・アイビーエスでは、自社の抱える膨大な情報資産を AI 活用で“金の卵”に

株式会社オークネット・アイビーエスは、中古車、バイク、花卉、ブランド品などの関連事業者向けオークション流通支援業を営む企業、株式会社オークネットのシステム開発部門を分社する形で 2015年1月に設立されました。最先端テクノロジーを駆使した IT プラットフォームをオークネットグループ内外に提供しています。

Web テクノロジー・クラウドソリューションを活用した新たなビジネススキームを生み出そうと、2015年1月に株式会社オークネットから分社・独立して株式会社オークネット・アイビーエスは生まれました。オークション事業で長らく培ってきたリアルタイム Web 技術だけでなく、今後、ますます重要度が高まっていくとされる、AI 、IoT 、そしてビッグデータ技術を事業の柱として、オークネット・アイビーエスは、さまざまなチャレンジを行う企業です。

2016年10月にサービス提供を開始した、車両画像識別システム「 Konpeki (紺碧)」もオークネット・アイビーエスのチャレンジした事業の成果の1つです。オークネットが約30年に渡って蓄積してきた車両取引のビッグデータを元に、写真から車名や型式を割り出すだけでなく、その写真が車両のどの部分を写したものなのかを判定する機能を実現しています。

膨大な情報資産の有効活用がきっかけに

まず、 Konpeki の開発にあたり前提としてあったのが、オークネットが保持する膨大な情報資産を有効活用できないかということでした。オークネットでは、それまで年間約400万台の中古車流通を扱っており、開発当時はそれを上手く活用できていない状況でした。この情報資産の有効活用を考えていたときに、 AI を使ったシステムである「 AlphaGo(アルファ碁)」が話題となっているのを見て、 AI を使えば何かできるのではないかと考え、 AI の活用を決めたそうです。

その後、オークネット社内でビッグデータと AI の活用法を検討していく中で、 TensorFlow と Google Cloud Vision API を使った車両画像識別システムを開発することになりました。

そうした流れを経て2016年1月から Konpeki の開発がスタートしました。開発当時は、まだ具体的なビジネス活用を想定していない実験的なプロジェクトとして始まりました。そのため、いくつかのチャレンジを心がけたと言います。1 つ目のチャレンジは、解析する画像(オークション出品社が撮影した車両写真)に手を加えないことです。そして、もう1つのチャレンジが学習と評価の自動化でした。

両方のチャレンジに共通しているのは、運用において余分な処理を増やさないことです。例えば、再学習の結果を人手で検証してしまうと、膨大なコストが発生してしまいます。画像収集からモデル作成、評価、反映までのサイクルを完全自動化することで、費用をかけずに日々追加されていくオークション車両画像を取り込んだ最新判定モデルを維持できるように心がけてシステムは構築されました。

開発の際、学習スピードの向上が大きな課題となりました。取引情報には1つの車両当たり数点から十数点の写真が含まれていましたが、この処理のスピードが業務に追いつかなくなりました。例えば3万枚の画像データをローカル環境の TensorFlow で処理しようとすると約1週間かかってしまいました。オークネットでは、年間約1,200万枚の車両写真を蓄積しているので、この処理スピードでは業務が終わらなくなってしまいます。

そこで、2016年10月頃に、 Google からの勧めに応じて、まだ β 版だった Google Cloud Machine Learning(以下、 Cloud ML)を導入することに決めました。 Cloud ML の採用により、それまでの処理方法を変更して並列処理にしたことで、処理速度が格段に向上することとなりました。

画像認識は時間短縮だけでなく作業ミス防止や作業の統一なども実現

当初は、 Konpeki に対して、ビジネス活用の具体的なプランがなかったそうです。しかし、ランドクルーザー、ハイエースに特化した新車・中古車販売会社フレックス株式会社への導入が決定することになりました。フレックスでは、それまで買い取りした中古車の車両画像を手作業で分類・登録していましたが、この作業方法を Konpeki を採用することで自動化できるのではないかと考えたために導入に至りました。

こうした画像認識は Konpeki の得意とするところであり、これまで20分前後かかっていた作業が一瞬で終わるという時間的メリットが発生しただけでなく、手作業ではどうしても避けられないミスを防げること、これまで主観に頼っていた分類を AI が統一的に処理することなど、フレックスの業務上の負荷を軽減することができました。

このフレックスでの成功によって、 Konpeki は今後もオークネット内外のさまざまな業務に拡大予定です。特徴的な取り組みとしては、その高精度な車両画像識別技術を活かして、交通量調査に使おうという計画があるそうです。また、企業向けだけでなく一般消費者にも影響のある分野として、 LINE 査定での利用も視野に入っているそうです。さらに、オークネットが保持する自動車以外のビッグデータを学習させた、他ジャンル向けの Konpeki 派生バージョンの開発も開始されています。その派生バージョンの一例として、ブランド品に特化した「 Konpeki for Brand 」が提供されています。

まとめ

今回は、 Google の機械学習サービスを活用した事例を紹介しました。機械学習システムを自前で構築するのは大変なことですが、 Google のサービスは手軽に利用できます。機械学習に興味を持った場合は、ぜひ Google のサービスを活用してみてください。

参考記事

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